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ランサムウェアに備えるバックアップの考え方。「取っている」だけでは戻せない理由

ランサムウェア(データを使えなくして身代金を求める攻撃)への備えとして、まず挙がるのがバックアップです。けれども、被害に遭った組織の多くはバックアップを取っていたのに、元に戻せなかったという調べがあります。なぜ戻せないことがあるのか、どう保管し、何を確かめておけばよいかを整理します。

01バックアップがあっても、戻せないことが多い

日経クロステックの記事(2026年4月)は、警察庁が2026年3月に公表した資料をもとに、ランサムウェアの被害に遭った組織のバックアップの状況をまとめています。それによると、被害組織がバックアップを取っていた割合は、2021年以降どの年も8割を超えていました。一方で、バックアップから被害の直前の状態まで戻せた割合は3割に届かず、2割以下の年もありました。

戻せなかった理由として最も多かったのは、バックアップそのものも暗号化されたり、消されたりしていたことでした。集計を始めた2022年以降、毎年おおむね7割を占めています。バックアップを取っていることと、いざというときに使えることは、別のことだと分かります。

02なぜ、バックアップまで使えなくなるのか

多くの場合、バックアップの保存先がふだんのネットワークにつながったままになっていることが原因と考えられます。社内のサーバーや共有の保存場所に入り込まれると、同じネットワークから見えるバックアップの保存先にも手が届いてしまいます。

警察庁の資料(2025年上半期)は、ランサムウェアの攻撃者が、復旧を妨げるために被害企業のログ(機器の動きの記録)やバックアップを消すことがあると指摘しています。攻撃する側は、バックアップがあれば身代金を払ってもらえないことを知っています。だからこそ、バックアップは狙われるものだという前提で保管の仕方を考えることが大切です。

03ふだんは切り離し、いくつかの時点を残す

IPA(情報処理推進機構)は2026年3月、中小企業が最初に取り組む対策に「バックアップを取ろう!」を加え、「情報セキュリティ6か条」としました。IPAの資料では、重要な情報を定期的にバックアップすること、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンにつなぐこと、バックアップしたデータを安全な場所に保管することなどが挙げられています。

加えて考えたいのが、いくつかの時点のバックアップを残しておくことです。最新の1つだけを上書きし続けていると、気づかないうちに壊れたデータで上書きしてしまうおそれがあります。また、パソコンのファイルを自動でクラウドに同じ状態にそろえる仕組みは便利ですが、手元のファイルが暗号化されると、その状態がクラウド側にも反映される場合があります。使っているサービスに、前の状態へ戻す機能があるかを確かめておくと安心です。

04「戻せるか」を一度試しておく

IPAの資料には、バックアップしたデータを戻せるかを定期的に確認することも挙げられています。バックアップは、戻す必要が出たときに初めて使うことが多いものです。そのときになって、手順が分からない、思ったより時間がかかる、必要なデータが入っていなかった、ということでは困ります。

年に一度でもよいので、実際に一部のデータを戻してみると、どのくらい時間がかかるのか、誰が作業できるのかが見えてきます。警察庁の資料では、ログは侵入の実態を調べたり、バックアップから復旧したりするときにも必要だとされています。どの業務から先に戻すかを、ふだんから話し合っておくことも備えの一つです。

05バックアップでできること、できないこと

バックアップは、データを元に戻すための備えです。入り込まれること自体を防ぐものではありません。また、近年のランサムウェアでは、データを暗号化するだけでなく、外に持ち出して公開すると脅す手口もあります。持ち出された情報は、バックアップでは取り戻せません。入口の機器の更新やパスワードの管理と、組み合わせて考える必要があります。

まずは社内で、何をバックアップしているか、保存先はふだんつながったままになっていないか、最後に戻せるか試したのはいつか、の3つを確かめてみてください。機器やサービスを入れた業者に任せている場合は、この3つを聞いてみるだけでも状況がつかめます。(記事の内容は2026年10月時点の公開情報にもとづいています)

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