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社内にサーバーやAI用の機械を置くと、UPS(停電しても少しの間だけ電気を送り続ける装置)を勧められることがあります。ただ、UPSは停電中も仕事を続けるための機械ではありません。メーカーの資料をもとに、UPSが受け持つ役割と、方式・容量・電池の選び方を整理しました。
01UPSが守るのは「仕事」ではなく「止め方」
UPSの中には電池が入っていて、停電すると、その電池から機器に電気を送ります。ただし、動ける時間は長くありません。たとえばシュナイダーエレクトリックの選び方の例では、600W分の機器をつないで11分ほど動ける機種が挙げられています。停電のあいだも仕事を続けるための機械というより、機械を慌てずに正しく止めるための時間をつくる機械と考えると分かりやすくなります。
電気のトラブルは停電だけではありません。三菱電機の説明では、落雷や風雨の影響で一瞬だけ電気が途切れる「瞬停」や、電圧が一瞬下がる「瞬低」なども、電源の障害として挙げられています。人が気づかないほど短い乱れでも、機械には影響することがあります。UPSは、こうした乱れから機械を守る役目も持っています。
023つの方式と、切り替わるまでの時間
UPSには、電気の送り方によって大きく3つの方式があります。1つ目は「常時商用給電方式」です。ふだんはコンセントの電気をそのまま機器に送り、停電したときだけ電池に切り替えます。仕組みが簡単で小さく安価にしやすい一方、三菱電機の説明では切り替えに10ミリ秒以内の時間がかかります。
2つ目は「ラインインタラクティブ方式」です。ふだんから電圧の上がり下がりを整えて送り、停電時は電池に切り替えます。三菱電機の説明では、切り替えは4ミリ秒以内です。3つ目は「常時インバータ給電方式」です。いつもUPSの中で電気を作り直して送るため、停電しても途切れずに電池からの給電に移ります。そのぶん部品が多く、UPS自体が使う電気も多めになると、シュナイダーエレクトリックは説明しています。
どれが合うかは、つなぐ機械と事務所の電気の状態によります。三菱電機は、ラインインタラクティブ方式は高性能なサーバーから事務機器まで幅広く使えるとし、常時インバータ給電方式は高い安定性が求められる機械に向くとしています。少しの途切れも避けたい機械なのか、電圧の乱れが多い場所なのかを先に確かめておくと、選びやすくなります。
03容量は「VA」と「W」の両方で確かめる
UPSの大きさは「1000VA/800W」のように2つの数字で書かれています。VAは電源が送り出す電気の総量、Wは機器が実際に使える電気の量を表します。シュナイダーエレクトリックは、つなぐ機器の最大消費電力を合計し、それより出力の大きいUPSを選ぶよう案内しています。電池の衰えや、あとで機器を増やすことを考え、合計の1.1倍、できれば1.3倍以上の余裕をみるという考え方もあります。
次に、その容量で何分動けるかを、メーカーが出している運転時間の表で確かめます。また、電池で動いているときに出す電気の波の形にも注意が要ります。シュナイダーエレクトリックは、電池運転のときに角ばった波形の電気を出す機種では、一部のパソコンやサーバーの電源が対応せず止まることがあると注意しています。サーバーやAI用の機械につなぐなら、なめらかな波形(正弦波)を出す機種を選ぶと安心です。なお、レーザープリンターのように一度にたくさん電気を使う機器は、UPSにつながないよう案内されています。
04電池は消耗品。置き場所の温度で寿命が変わる
UPSの電池は、何もしなくても少しずつ衰えていきます。オムロンの資料によると、電池にとって望ましい周りの温度は20℃前後で、温度が上がるほど寿命は短くなります。同じ資料の表では、20℃から30℃に上がると、期待できる寿命がおよそ半分になっています。サーバーのそばや、夏に空調が止まる部屋に置くと、思ったより早く交換の時期が来ることがあります。
そのため、UPSを買うときは、本体の値段だけでなく交換用の電池の値段と、交換の目安になる年数も確かめておきます。導入した日を記録しておき、目安の時期が近づいたら点検や交換を考えます。「いざ停電したら電池が弱っていて数秒しかもたなかった」ということを避けるためです。
05停電したとき、誰が機械を止めるのか
夜中や休日に停電した場合、事務所には誰もいません。そこで、UPSと機械をつないで、停電を知らせ、電池が尽きる前に自動で機械を止めるソフトを使います。シュナイダーエレクトリックの管理ソフトは、電源の障害が起きたときにサーバーを自動で止める仕組みとして紹介されています。ほかのメーカーも、同じ役割のソフトを用意しています。
大切なのは、入れたあとに一度、試しておくことです。停電から何分後に止め始めるか、複数の機械をどの順番で止めるか、電気が戻ったら自動で起動させるかを決め、実際に動くかを確かめます。すべての機器にUPSが必要なわけではありません。止まると困る機械と、止まっても困らない機械を分けて考えると、必要な台数と大きさが見えてきます。配線や電気工事が関わる場合は、電気工事の専門業者にご相談ください。
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