MEDIA/ローカルLLM

社内で動かすAIにも利用規約がある。モデルを選ぶ前に確かめたい4つのこと

執筆:ミネルバ編集部

社内の機械でAIを動かすときは、インターネットで公開されている「モデル」(AIの頭脳にあたるデータ)を取り込んで使うのが一般的です。無料で手に入るものが多い一方で、モデルごとに利用規約が付いています。どこに規約が書かれているか、何を確かめればよいかを、公開されている規約を例に整理しました。

01無料で手に入っても、使い方には決まりがある

社内でAIを動かす場合、AIそのものを一から作る会社はほとんどありません。大手のIT企業や研究機関が公開しているモデルを取り込み、自社の機械で動かします。取り込むのに費用がかからないものも多くあります。

ただし、費用がかからないことと、どんな使い方をしてもよいことは別の話です。モデルには、作った会社が定めた利用規約が付いています。規約には、使ってよい範囲、禁止している使い方、ほかの人に渡すときの条件などが書かれています。社外のサービスを契約するときに約款を読むのと同じように、社内で動かすモデルも、規約を確かめてから使い始めます。

02規約はどこに書かれているか

モデルは、Hugging Face(AIのモデルを公開・配布するための大きなサイト)などで配られています。Hugging Faceの説明によると、モデルの紹介ページには、どの規約で配っているかを書く欄があり、その内容はページ上に表示されます。よく使われる規約であれば名前だけが書かれ、その会社独自の規約であれば、規約の名前と、本文へのリンクが書かれる仕組みです。

まずはこの欄を見て、どの規約で配られているかを確かめます。そのうえで、規約の本文を開いて読みます。独自の規約の場合、本文はモデルを作った会社のサイトに置かれていることが多いため、リンク先が作った会社のものかどうかも見ておきます。

03実際の規約から見る、確かめたい4つのこと

例として、Googleが公開しているAIのモデル「Gemma」の利用規約(Gemma Terms of Use、2026年4月1日更新)を見てみます。1つ目は、使ってよい範囲です。この規約は、モデルを使ったり、手を加えたり、ほかの人に渡したりすることを、規約に従う限りで認めています。

2つ目は、禁止されている使い方です。この規約は、別に定めた「禁止する使い方の決まり」を規約の一部として取り込んでいます。さらに、Googleは、規約に反していると合理的に考える使い方について、遠隔などの方法で制限する権利を持つと書かれています。

3つ目は、ほかの人に渡すときの条件です。手を加えたモデルを社外に渡す場合は、受け取る人に規約の写しを渡すことや、禁止する使い方の決まりを相手との約束に入れることが求められています。社内だけで使うのか、取引先に渡すのかで、確かめる量が変わります。

4つ目は、AIが作った文章の扱いです。この規約では、Gemmaを使って作った文章などについてGoogleは権利を主張せず、その文章とその後の使い方の責任は、使った側が負うとされています。なお、規約をめぐる争いは、米国カリフォルニア州の法律に従うと定められています。

04同じ名前のモデルでも、版によって規約が違うことがある

同じGemmaの規約のページには、この規約は末尾の一覧に載っているモデルに適用され、Gemma 4については別の規約を見るように、と書かれています。同じ会社の同じ名前のモデルでも、新しい版では規約が変わることがある、ということです。

また、規約そのものも書き換えられることがあります。使っているモデルの版を上げるときや、しばらく経ってから使い方を広げるときは、そのつど規約を開き直します。「前に確かめたから大丈夫」とせず、どの版の、いつ時点の規約を確かめたかを残しておくと、あとで迷いません。

05社内に残しておきたい記録

モデルを使い始めるときは、モデルの名前と版、規約の名前とリンク、確かめた日、確かめた人を、簡単な表にして残しておくことをおすすめします。社内でどんな仕事に使うか、社外に渡すことがあるかも、あわせて書いておきます。担当者が替わっても、同じ確認をたどれるようにするためです。

規約は英語で書かれていることが多く、読み方が難しい箇所もあります。この記事は一般的な説明で、それぞれの規約の解釈を示すものではありません。商品やサービスに組み込む場合など、判断に迷うときは、契約や知的財産に詳しい専門家にご相談ください。

記事一覧へ戻る

記事を読んで、気になることがあれば。

お問い合わせ